アメリカ経済「双子の赤字」の問題って?
「双子の赤字」とは、アメリカにおける財政赤字と経常収支(※1)赤字の併存のこと。そもそもレーガン政権時代のアメリカでレーガノミクスと呼ばれる減税と軍備拡張をセットにした供給面(サプライサイド)を重視した財政拡大型の政策により、財政赤字が拡大し、さらにそれをまかなうための大量に発行した国債をさばくために金利を引き上げた結果、国際的なマネーがアメリカに流入。ドル高が引き起こされアメリカの輸出競争力が低下。さらに、減税による消費拡大は輸入増を引き起こし、アメリカ経済は大幅な経常収支赤字に陥りました。こうした財政収支と経常収支が共に赤字に陥る事を「双子の赤字」と言います。

※1 一年間の物やサービスの取引の総和。輸出より輸入が多ければ赤字になる。国際収支は、経常収支と、お金の流れを示す資本収支(※2)の合計

※2 資本収支はお金が流入すれば黒字となるので、レーガノミクス下では当然、資本収支は黒字であった。

図式

消費拡大→輸入拡大------------------------------------↓
 ↑                                    
経常赤字
減税                                      ↑
 + →
財政赤字拡大→国債発行急増→金利上昇→ドル高→輸出減退
軍備拡大

現在のブッシュ政権はITバブル崩壊後の景気回復のための減税、そして9.11後の国防予算増のためほぼレーガン政権時代に近い経済政策を行なっており、一部ではブッシュノミクスとも呼ばれているようです。このブッシュノミクスにより、アメリカは現在、経常収支と財政収支の赤字が毎月、過去最高を更新するような状況になっています。


何が問題なのか?
さて、ここで問題となるのは、どうしてこんな「双子の赤字」の状態が維持できるのか、という事です。普通に考えれば、ドルは暴落を起こしてしまうかもしれないのですが、そうはなりません。理由は、まずドルは国際基軸通貨であるという事。世界の取引の決済はドル中心に行なわれるため、ドルを刷れば簡単に返済出来るわけです。また、アメリカは世界で一番、投資先として魅力がある国であるため、資金が流入し易いのです。
ならいいじゃないか、というとそうも行きません。まず、基軸通貨としてのユーロの台頭は近年著しく、ドルは少しずつですが国際基軸通貨としての立場が低下しつつあります。また、BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国の新興四カ国)をはじめとして、アメリカ以外の有望な投資先も増えつつあります。このままいけば、いつかドルが暴落するのではないか?というのが双子の赤字の問題点となるわけです。


ドル暴落は起こるか?

可能性は低いと言えます。昨年までの日本銀行による空前の為替介入が終わった後も、ドルは5%程度しか下落していません。世界各国の対米投資意欲は今尚高く、また先進国の中ではアメリカ経済が断トツに堅調に推移している事を考えると、短期間でのドル暴落の可能性はそれほど高くはありません。
ただ、アメリカの貿易赤字は史上空前の規模に達しており、今後は1ドル=100円をにらんだ展開となっていく可能性もあります。とはいえ現在、為替レートを決定する力を持つのは、貿易収支よりむしろヘッジファンドなどの投機資金であり、これらの投機筋の動向が注目されます。(※本稿は将来の一切の為替予測を行なうものではありません。本稿の閲覧によるいかなる損害に対しても責任は負いかねます※)



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